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日々の負担を軽減するための ヒント:眼の負担を和らげる

2022年11月 | 4分で読めます
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MGによる眼の症状は日常生活に支障をきたすことがあります1。 眼の負担を和らげるいくつかのヒントをご紹介しましょう。

まぶたが下がる(眼瞼下垂)、ものが二重に見える(複視)、焦点を合わせにくい、かすみ目などは、すべて眼やまぶたの筋力が低下すると起こりうるものです1。こういった症状は一時的な場合もあれば、思ったより長く続くこともあります1

今回は、脳神経内科医の意見を参考に、日常生活をより過ごしやすく快適に送れるようにと、MGに関わる方たちがお勧めする、眼の負担を和らげるヒントやコツをご紹介します。なお、これらを取り入れる前に、身体の状態やMGがどの段階にあるかを踏まえ、試してみたいことが自分にとって安全で適したものであるか、主治医に確認しましょう。

オーディオブックを購入してみる

読書が大好きなのに、眼の症状によって読書を楽しめない場合は、本のオーディオ版を探してみるとよいでしょう。オーディオブックなら、本を耳で楽しみながら、眼をしっかり休ませることができます。

明るさを調節する

スマートフォンが発する光は、眼に対して負担をかけることがあります2。ブルーライトをカットするアプリを使ったり、スマートフォンの設定で明るさを調整したりすることで、負担が軽減される可能性があります3。スマートフォンのアプリストアで「ブルーライトカット」または「ナイトモード」と検索すると、様々なアプリが見つかるでしょう。

サングラスを携帯する

光に敏感な方は、サングラスをかけることを検討してみましょう。カテゴリー3(高強度の太陽光向け)のサングラスは強い日差しから眼を保護してくれます。保護効果が最も高いカテゴリー4(きわめて高強度の太陽光向け)のサングラスであれば、強烈な太陽光による眩しさから眼を保護してくれます。ただしレンズの特性上、カテゴリー4のサングラスを運転中に使用することは推奨されていませんのでご注意ください4

点眼薬の利用を検討する

点眼薬を使用することで乾いた眼が潤い、瞬きしやすくなることがあります5,6。点眼薬が自分に適しているかどうかは眼科医に確認しましょう。

アクセシビリティ・ソフトウェアを使用する

ノートPCを長時間作業するとか、長文のテキストメッセージをスマートフォンで入力するなどスクリーンを長時間みなければいけない時に、もしMGの症状がいつもより悪くなっているような気がするなら 、アクセシビリティ・ソフトウェアを試してみてください。文字を読み上げるスクリーンリーダー・プログラムや、話しながら文字を入力できる音声入力機能を使えば、パソコンやスマートフォンによる眼の疲労を軽減することができるかもしれません。これらの機能はパソコンやスマートフォンの「アクセシビリティ」の設定などに搭載されているほか、「スクリーンリーダー(読み上げソフト)」や「音声入力」などと検索して見つけることもできます。

パソコンで作業することが多いのですが、ものが二重に見える症状がひどい日は、スクリーンリーダーに文字を読み上げてもらうことで、スクリーンの光から解放されて本当に助かっています。

トミー(MG患者さん)

適したアイウェアを使用する

ものが二重に見えるせいで日常生活のやる気がそがれてしまう場合は、症状緩和につながるいくつかの方法があります。身の回りの環境やご自身の症状に合わせて、以下のことを試してみたり、眼科医に相談したりしましょう7

  • 眼帯を付ける
  • 片方のサングラスや眼鏡の裏面に半透明なテープを貼る
  • プリズム眼鏡の使用について眼科医に相談する

人前で眼帯を付けるのに抵抗がある場合は、片方のレンズの裏面に半透明なテープを貼るなどして片目を遮蔽すれば、目立ちにくく、ものが二重に見える症状によるイライラの軽減に役立つでしょう7。プリズム眼鏡は、症状が一定の方には効果があるかもしれませんが、一日の中で症状が変わる方は、眼帯や半透明なテープのほうがよいかもしれません7

アイマスクを付ける

人は誰しも十分な睡眠が必要です。眼に対する負担のせいで寝付きが悪かったり、よく眠れなかったりする場合は、寝るときにアイマスクを付けてみましょう。眼を閉じる筋肉が疲労している場合でも、アイマスクが睡眠の質の改善に役立つかもしれません。

冷却タイプのアイマスクを日中に数分間使用することで、眼を休ませ、負担をいくぶん軽減することができるかもしれません。

これらの情報は、あくまでも患者さんに役立つ情報であり、医師の臨床判断に取って代わるものではありません。ご自身の疾患や具体的な症状については主治医にご相談ください。

  1. Gilhus NE, et al. Nat Rev Dis Primers. 2019;5(1):1-19.
  2. Sheppard, et al. BMJ Open Ophthalmol. 2018;3(1):e000146.
  3. Oh JH, et al. Sci Rep. 2015;5:11325.
  4. International Organisation for Standardization. ISO 12312-1: Eye and face protection—sunglasses and related eyewear—Part 1: sunglasses for general use. Geneva. 2013.
  5. Korb DR, et al. Optom Vis Sci. 2005;82(7):594-601.
  6. Lee AJ, et al. Br J Ophthalmol. 2002;86:1347-1351.
  7. Glisson CC. Continuum (Minneap Minn). 2019;25(5):1362-1375.

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