この記事は、テキサス大学健康科学センター・サンアントニオ校の脳神経内科医ラトナ・サンカ先生(MD)、アメリカMG財団理事で危機管理専門家のフィル・コーガン先生(MA)が執筆しました。
この記事は、テキサス大学健康科学センター・サンアントニオ校の脳神経内科医ラトナ・サンカ先生(MD)、アメリカMG財団理事で危機管理専門家のフィル・コーガン先生(MA)が執筆しました。
人生では、万が一に備えて、事前に考えておくことが大切です。MGとともに生きる場合、この備えがひときわ重要になります。MGクリーゼには、迅速で適切な対応が必要です1-3。いざという時の対策を確認するのを先延ばしにする理由は多々ありますが、正しい知識なしにクリーゼを経験するよりも、起きる前に予め備えておく方が安心ではないでしょうか? 次のことを知っておきましょう。
筋力低下の悪化により、気管挿管、または気管挿管のかわりに非侵襲的換気(マスク換気)等が必要となる状態を、MGクリーゼと呼びます1。つまり、人工呼吸器なしでは呼吸できない状態になるため、ただちに治療を受ける必要があります1,3。
息切れを感じる理由は様々です。肺疾患、心臓のトラブル、不安など、MGに関係なくても同様のケースもあります4。ただし、次のいずれかの症状があればクリーゼのサインかもしれません。
呼吸困難の場合、すぐに救急車を呼んでください。
本格的なクリーゼが起きる前に、前兆が見られることもあります。再燃や増悪から、数日あるいは数週間でクリーゼに至るおそれがあるのです。前兆は個人差があります。以下の症状があれば警告ととらえましょう。
咳が弱くて痰が切れない、飲食しようとすると頻繁に咳が出る、うまく飲みこめずやわらかいものしか食べられない、飲みこむ際に水分が鼻に逆流する感じがある、などの症状があらわれることがあります2。
これら以外の徴候として、頭が垂れてくる、鼻声になる、声が小さくなる、少し話すたび息継ぎが必要になる、などがあります3。
上記の症状がひとつでもあらわれたら、すぐ病院を受診してください。
呼吸が困難、噛みにくい、飲み込みにくい、咳がでる等の異常が最も注意すべきクリーゼの前兆ですが、それ以外にも最初は見落としやすい徴候が沢山あります。ものが二重に見える、まぶたが垂れ下がる、発音が不明瞭になる、腕の力が弱くなる、転倒しやすい、歩行が不自由になるなどの、MGの症状の悪化です。
定期的に受診して症状を観察することで、こうした徴候に早く気づけるでしょう。
MGクリーゼのリスクを抑えるため、何が増悪を引き起こすか知っておきましょう。以下は、MGクリーゼの引き金になることが知られています。3
MGクリーゼへの対応は、判断が難しい場合もあります。主治医には、悪化の兆しの判断がしやすくなるように、必ず定期的に症状を伝えましょう。
MGクリーゼには、あらかじめ備えておくことが大切です。症状は個人差があるため、事前に主治医と詳しく話し合っておきましょう。家族や友人、お世話をしてくれる人、同僚にもMGのことを知ってもらい、クリーゼが起きたときの手順を伝えておきましょう。たとえそんな日は来なくても、万が一の事態に安全に対処するためのプランがあれば、安心できます。
たとえば、NPO法人 筋無力症患者会では「MG緊急カード」を作成しており、患者会のウェブサイトからダウンロードできます。
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免疫機能に異常が生じて過剰に免疫細胞が反応することからMGを発症します。MGは遺伝しない(親から子へ伝わることはない)と言われており、伝染することもありません。年齢や人種にかかわらず発症しますが、20~30歳の女性と50~60歳の男性にやや多く見られます。
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