朝晩が涼しくなり、食欲の秋がやってきました。「噛みづらい、飲み込みづらい」「手に力が入りにくい」といった症状を伴うことがある重症筋無力症 (MG)患者さん向けの調理の工夫と、食欲の秋にぴったりなMG患者さん向けのレシピをご紹介します。
MG患者さんにとっては、食べることはもちろん、料理することもままならないことがあるのではないでしょうか。「少しの工夫で、食べやすく、飲み込みやすくすることができます」と話すのは、料理家・管理栄養士の渥美まゆ美さん(株式会社Smile meal代表取締役)。渥美さんは、アルジェニクスジャパンとグローバル刃物メーカーの貝印株式会社が共同で開催した「MGクッキングキャンペーン」でもご協力いただいきました。
そんな渥美さんから、MG患者さん向けの調理の工夫について教えて頂きましたのでご紹介します。















MG患者さんが作り易くて食べやすい、美味しいレシピ
先程ご紹介した渥美さんの調理の工夫をもとに、貝印が運営する料理教室主宰者のためのメンバーズクラブ「Kai House Culinary Artist Club」に所属する料理家の方々に、MG患者さんが作りやすくて食べやすいレシピを考案していただきました。今回は、その中から2つご紹介します。ひとつめは、ナスは皮をむくことで嚥下しやすくし、サバ缶を使って手軽に作れる「サバ缶とナスのトマト煮込み」。ふたつめは、繊維質の多い香味野菜を繊維を断つように切って卵でふわっと包んだ「かにのふわふわカレー炒め」です。どちらも調理道具をうまく活用することで、あまり力を使わずに料理することができるように工夫されています。



材料(2人分)
- ニンニク 1片
- ナス 小2本(160g)
- サバ缶 (食塩使用タイプ・分量は正味) 130g
- オリーブオイル 大さじ1
- フレッシュバジルの葉 3~5枚
- 胡椒 少々
下準備材料 A
- トマトピューレ 100g
- 酒 40ml
- みりん 小さじ1
- 塩 ふたつまみ
サバ缶とナスのトマト煮込み
作り方
- 鍋にオリーブオイル、ニンニクしぼりで薄皮をとって絞り出したニンニクを入れ、中火弱にかけて香りをたてる。
- ナスはピーラーで皮をむき、1cm厚さのいちょう切りにして、1に加え全体をさっと中火で炒め合わせる。
- 水気を切ったサバ缶を加え、シリコーンスプーンで食べやすい大きさにほぐしながら炒める。
- ちぎったバジルの葉とAを加えて中火で一度沸かし、ふつふつとした状態に火を落としてから蓋をして10分煮込む。
- 胡椒少々で味を調え、器に盛りつける。
POINT
ニンニクとバジルの香りで食欲UP!ナスは皮をむくと嚥下がしやすくなります。手間のかかる魚料理は、サバ缶使いで調理を手軽にし、必要な栄養素も摂取できます。ニンニクの薄皮むきやみじん切りは、ニンニクしぼりを使うと簡単に。シリコーンスプーンは、ほぐす、炒める、すくうと3役使え、器具の準備や洗い物が減ることもポイントです。缶の開封には、オープナーを使用すれば力を使わず楽に開けることができます。
※レシピ開発:inizio料理教室 依藤亜弓さん



材料(2人分)
- かに缶(固形量55g) 1缶
- セロリ 1/5本 (20g)
- 人参 1/5本 (20g)
- 玉ねぎ 1/4個 (40g)
- ピーマン 1個 (40g)
- おろしにんにく (チューブ) 5g
- おろし生姜 (チューブ) 5g
- 食用油 大さじ1
下準備材料 A
- 卵 2個
- ココナッツミルク 大さじ3
- 牛乳 大さじ3
- 醤油 小さじ1
- オイスターソース 小さじ1
- カレー粉 小さじ1
- 砂糖 小さじ1
かにのふわふわカレー炒め
- セロリと人参はせん切り器を使ってせん切りにする。
- 玉ねぎを繊維を断つように5mm幅に切る。
- ピーマンは縦半分に切り、へたと種を取り更に縦半分に切って(1/4の大きさ)繊維を断つように5mm幅に切る。
- Aをボウルに入れ、混ぜ合わせる。
- フライパンに食用油、にんにく、生姜を入れて火をつける。
- カットした野菜を入れて、玉ねぎが透き通るまでシリコーンスプーンで炒める。
- カニ缶(水分ごと)とAを入れて卵が半熟になるまでふんわり炒める。(余熱で火が通る。)
POINT
繊維を断つように切った野菜をふわふわの玉子で包みました。エスニック感のある味付けは異国を感じさせます。またご飯にかけても食べやすい口溶けです。時間短縮の為、せん切り器を使用し香味野菜を細かくカットしました。またシリコーンスプーンは調味料を無駄なくすくい、ふんわり炒める工程に最適です。缶の開封には、オープナーを使用すれば力を使わず楽に開けることができます。
※レシピ開発:Tussie-Musie~Herb Kitchen~山口亜弥さん
このほかにも、料理家の方々にご協力いただいた、MG患者さんが食べやすく、作りやすい料理を開発しています。詳しくはレシピブックをダウンロードしてご覧ください。

重症筋無力症(MG)啓発プロジェクト「知ってくださいMGのこと」の活動の一環として、グローバル刃物メーカーの貝印株式会社と共同で作成した、MG患者さんのためのレシピブックです。
MG患者さんが咀嚼をしにくい、飲み込みづらいなどの症状がある事を考慮して開発されたレシピが掲載されています。レシピに合わせて筋力が弱い方の調理をサポートする調理器具も紹介されています。
- ファイル名
- MG_recipe-book_0714-f.pdf
- サイズ
- 4 MB
- フォーマット
- application/pdf