加齢の影響に重症筋無力症(MG)が加わることで、特有の課題や悩みが生じます。
あなたがMG患者さんでも、あるいは介護者であっても、ここでご紹介する事を参考にすることで、年を重ねてもMGと暮らす日々が過ごしやすくなるかもしれません。加齢と同じように、MGという診断は長い旅の出発点にすぎません。日本では、2065年には国民の2.5人に1人が65歳以上になると推計されています1。ここでは、皆さんが今後の人生を歩む上で役立ちそうな、ライフスタイルのヒントをいくつかご紹介します。
あなたがMG患者さんでも、あるいは介護者であっても、ここでご紹介する事を参考にすることで、年を重ねてもMGと暮らす日々が過ごしやすくなるかもしれません。加齢と同じように、MGという診断は長い旅の出発点にすぎません。日本では、2065年には国民の2.5人に1人が65歳以上になると推計されています1。ここでは、皆さんが今後の人生を歩む上で役立ちそうな、ライフスタイルのヒントをいくつかご紹介します。
できるだけ継続的に体を動かし、定期的にストレッチをすれば、筋肉が硬くなるのを防げるかもしれません。運動が好きで医師の許可ももらえるなら、MG患者さんでパーソナルトレーナーのバネッタさんが教えてくれる、「自宅でもできるMG患者さんのためのエクササイズ」に挑戦してもよいでしょう。
年を重ねると、私たちの骨は次第にもろくなります。なかでもMG患者さんは骨粗しょう症を発症しやすくなります。骨粗しょう症になると骨が弱くなり折れやすくなります2,3。骨を健康に保つため、定期的に骨密度を測定してもらいましょう。場合によっては主治医から、作業療法士に相談するよう勧められるかもしれません。作業療法士は、あなたの動作能力を確認し、転倒防止のため浴室やキッチンでとれる対策を教えることも可能です。ここでは作業療法士も推奨するであろう、役に立つヒントをいくつか紹介します。
しっかり栄養をとり十分な水分を補給してください。年齢を重ねるにつれ代謝が落ちるため、加齢に伴って、食欲減退、のどの渇きを感じにくくなる、薬の服用、腎機能の低下などの理由で脱水症状のリスクが高くなる可能性があります4,5。のどが渇いたときだけではなく、1日を通して水分をこまめにとるようにしましょう。
食事からも水分補給をすることもできます。果物や野菜などは水分量が多いため、水分補給に活用できます。1日の水分摂取量を増やすために、キュウリやセロリ、スイカ、いちごでスムージーを作ってみましょう。スーパーでカット済のフルーツを探せば、手間もかかりません6。スムージーなら体温上昇を抑えつつ、水分と栄養分を補給するのに役立ちます。
食事を通して、骨粗しょう症の予防に役立つカルシウムとビタミンDを十分とることも大切です3,7。この2つは、健康な骨と代謝の維持に欠かせない栄養素であり、推奨摂取量は年齢とともに増加します。栄養士に相談して、牛乳やチーズ、色の濃い葉野菜、ナッツなどカルシウムを豊富に含む食べ物を教えてもらいましょう。脂肪の多い魚、レバー、卵黄には天然のビタミンDが豊富に含まれています。牛乳、シリアル、栄養補助バーなど、摂取量を高めるためにビタミンDが添加された食品(ビタミンD強化食品)もあります7。
頼れる人すべてに頼りましょう。友人や家族、支援団体、オンラインカウンセリングなど、安定した暮らしを続ける上で役立つ選択肢がたくさんあります。詳しい情報をお探しなら、「重症筋無力症(MG)と向き合いながら心の健康を良好に保つ方法」をお読みください。MGは身体的な症状だけではなく、心への影響にも気を配る必要があります。
年齢を重ねるにつれ認知能力が衰え、記憶力が低下する傾向にあります8,9。新しい趣味を始めるなどして活動的に過ごすと、記憶力や認知機能が高まることがわかっています10。新しい習い事を始めたり、今までやったことがない活動に取り組むことで、視野が広がり、新たな達成感を味わえるかもしれません。
年を取るにつれて、介護について気になり始めるかもしれません。今必要な介護を受けていなければ、専門的な支援を受けることを検討してもよいでしょう。介護付き住宅や在宅介護サービスなら、移動手段、人との交流、日常生活、介護全般について支援を受けられます。老人ホームが提供しているオプションサービスを検討してみてもいいでしょう。
誰もが老後のことを考えねばなりません。MG患者さんならなおさらです。年を重ねるにつれ、以上のヒントを心に留めておいてください。
重症筋無力症(MG)患者さんの65%~88%が、一つ以上の併存症(MGと同時に存在する別の病気あるいは状態)を抱えているといわれており、症状がMGと似ている場合は原因の判断が難しくなることがあります。
筋力低下の悪化により、気管挿管、または気管挿管のかわりに非侵襲的換気(マスク換気)等が必要となる状態を、MGクリーゼと呼びます。重症筋無力症とともに生きる場合、万が一に備えて事前に考えておくことが大切です。
重症筋無力症の日々の症状に対処しながら、これからのことについて考えるのは大変かもしれません。ですが、自分の人生を自分でコントロールすることに自信を持ち続けることが大切です。