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治療目標を決めることが大切

2020年6月 | 5分で読めます
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治療目標を立てれば、現実を見据えて一歩ずつ前進し、経過を把握できます。ここでは、目標を設定する方法を紹介します。

重症筋無力症(MG)の治療を始めるにあたり、希望とともに現実的な視点をもっておくことが望ましいです。MGは複雑な疾患で、症状には個人差があります。しっかり経過を追い、治療や経過について主治医と話し合うことが大切です。気になることがあれば、遠慮なく相談しましょう。問題があれば、必ずすぐに主治医に伝えることが重要です1

目標1:生活に支障がない状態を目指す

MG患者さんにとって大きな目標は、「軽微症状」と呼ばれる状態に達することです。軽微症状は、日常生活の動作に支障がないことをさし、多少の筋力低下やまぶたが下がることがあるかもしれませんが、日常生活の動作に制約を感じることはない状態です。軽微症状であれば、歩行、食事、運転、軽作業を伴う仕事に支障が出ることは少なく――それどころか、軽い運動は症状改善に役立つ場合もあります。この状態であれば、今の治療で上手くいっているということです1

MGと最初に診断されたとき、患者さんの胸に浮かぶ願いはひとつ。この病気を治したい!――。そう思うのも無理のないことですが、この疾患について学び、自分の症状への理解が深まるにつれて、適切な治療で軽微症状を目ざす方が、身近な目標だと感じるでしょう。その方がより現実的で、日常生活の質の向上につながるのではないでしょうか。

寛解について:寛解とは筋力低下などMGの症状が全くない状態をさします。(わずかな閉眼力の低下はあってもいい)。薬による治療の必要はありません。寛解を達成するのは非常に困難ですが、達成できればそれが最良の予後です1

目標2:自己ベストを目指す(MG-ADLスケールのスコアを下げる)

8つの質問を使ってMGの症状の重症度を評価する簡単な調査票があります。これは、MG-ADL(重症筋無力症日常生活動作)スケールと呼ばれます。このスケールでは、目、顔、首/のど、胸、腕、手、足の筋力がどの程度低下しているかを評価します。このスケールを使って、治療薬による効果を判定することもできます。スコアは0~24点で、小さいほど症状が軽微です。

目標3:クリーゼを防ぐ

MG患者さんのうち15~20%が、少なくとも1度はクリーゼを経験するといわれます3。そのため、クリーゼがどういったもので、どう対処すればよいか知っておくことは大切です。MGクリーゼは、呼吸困難により人工呼吸器が必要になる重篤なMG再燃をさします。突然起きることもあれば、徐々に症状が悪化する場合もあります1。クリーゼに陥ると、以下の症状の一部またはすべてがあらわれます。

  • 呼吸が苦しいと感じる4
  • 途中で息切れするため、文章を最後まで話せない、20まで数をかぞえられない4,5
  • 呼吸すると、肋骨の間の筋肉や鎖骨の上の筋肉がくぼむ5
  • 咳をしても唾液や痰が切れない5

呼吸が苦しくなったら、すぐに救急車を呼ぶか病院を受診してください4

処方薬か市販薬かを問わず、薬にはMG症状を悪化させるおそれがあるものがあります5。受診の際は、漢方薬やサプリメントを含め、現在使用している薬などのリストを持参しましょう。そうすることで、自分では気づかない薬の相互作用を防げます。万が一に備えて、使用中の薬などの全てを記載したカードを常に携帯してください。また、市販薬やサプリメントを含めて、新たに薬などの使用を始める場合は、事前に必ず医師に確認しましょう。

MG患者さんによく見られる他の疾患(併存症)についても、知っておく必要があります。こうした併存症による合併症が原因で、MGクリーゼに至るおそれもあります。

MG患者さんは全員、クリーゼを防ぐことを目標にする必要があります。しかし一方、症状を管理してできる限り充実した生活を送りたいと願うことも大切なことです。主治医と相談しながら現実的で到達可能な目標を設定しましょう。そうすることによりMG患者は未来に対し希望をもつことができ、明るく振る舞えるようになるでしょう。MGユナイテッドは、MG患者さんのMG症状が軽減して、快適に自分らしく生活するのに役立つ情報を提供したいと考えています。

ダイビングの道具は大事にとってあるよ。また潜れる日が来るのを願って。

クリス・G
フロリダ州ハドソン

  1. Sanders DB, et al. Neurology. 2016;87(4):419-425.
  2. Wolfe GI, et al. Neurology. 1999;52(7).
  3. Stetefeld H, et al. Neurol Res Pract. 2019;1(19):1-6.
  4. Wahls SA. Am Fam Physician. 2012:86(2):173-182.
  5. Wendell LC, et al. Neurohospitalist. 2011;1(1):16-22.

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