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初めて重症筋無力症(MG)と診断された方へのアドバイス

2020年7月 | 5 分で読めます
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MGとともに生きる方法を学ぶ

MGと診断されて、混乱や落ち込み、様々な不安な感情に襲われるかもしれません。一方で、診断がついて納得し、ほっとする部分もあるかもしれません。診断されたあとは、MGとともに生きる最良の方法を探し始めましょう。

あなたは、ひとりではありません。同じ経験をした人から勇気をもらうことができます。今後のライフスタイルの変化についてじっくり考えられるよう、MGのことをできる限り学んでみましょう。

MGの症状のあらわれ方は人によって少しずつ異なります。あなたの経過も、他の誰とも違うものになるかもしれません。新しい情報が出てくるかもしれません。知識は力です。MGとともに充実した人生を送る方法を早く知れば知るほど、自信を持てるようになるでしょう。

最初は、疑問ばかりでした。私のキャリア、未来、人生は一体どうなるのって。
MGコミュニティで、答えが見つかりました。

アリシア・エンジェル
2019年6月に診断

症状は一人ひとりちがう1,2

MGと診断された人の多くは、この疾患について聞いたことさえありませんでした。MGは、年齢や人種を問わず発症する希少疾患です。20~30歳の女性と50~60歳の男性にやや多く見られます3。米国内の患者さんは現在、3万1,000~6万7,000人程度、日本の患者さんは2万9,000人と言われています4,5,6。これは決して多い数字ではありませんが、同じ立場の人をサポートしたいと願うMG患者さんによる心強い患者支援団体が存在します。

まず、MGがあなたに与える影響を知りましょう。ひとつの方法は、MG-ADL(重症筋無力症日常生活動作)スケールを見ることです。このスケールは、主にMGの専門医が使用するものですが、症状の把握や現実的な目標設定について治療チームと相談する際、参考になることでしょう7

時間をとって、あなたの今の症状を振り返りましょう。治療を続けるなかで、MG-ADLスコアは変わったり変わらなかったりします。治療チームや主治医と相談し、MGの状態に応じてあなたに最適な目標を設定するサポートをしてもらいましょう。MGに振り回されるのでなく、あなたがMGをコントロールすることを目ざしましょう。

MGのタイプを知る

抗体とは、簡単に言うと、免疫系が細菌やウイルスと闘うために働く蛋白質です8。あなたのMGのタイプは、血液中に含まれるMGに関連する抗体の種類(血清型)によって決まります8,9。この抗体は、基本的にIgG抗体の一種です。MG患者さんの約80%が抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体、約5%が抗マスク(MuSK)抗体をもっています。残りは抗体陰性MGに分類されます10-12。MGの管理法を治療チームと話し合う際は、自分の血清型を知っておくことが重要です。

なぜこのような症状が出るのか?

MGについて学ぶと、その謎が少し明らかになるかもしれません。それでも、なぜこのような症状が出るのか不思議に思うこともあるでしょう。MGは、末梢神経と筋肉間(神経筋接合部)の情報のやりとりが上手くいかないため発症します9。MGは、免疫系が神経筋接合部を攻撃する自己免疫疾患なのです。免疫系が、神経筋接合部にある筋肉を誤って攻撃するため、神経からの情報が正しく伝わらない状態になります9,13。詳しくは、「重症筋無力症とは何か? 発症の仕組みは?」をご覧ください

私はMG患者だけれど、MGが私の全てではない

ニキ・G
ウィスコンシン州グリーンリー

前向きに生きる

MGと歩む旅は始まったばかりです。病気の知識が増えるほど、症状に対応しやすくなるでしょう。あなたはひとりではありません。このサイトでは、同じような体験をした人の話を読むこともできます。長年MGとともに生きてきた仲間を助けたいと考える患者さんが参加する患者支援団体もあります。

MGは予測がつきません。情報を集め、同じ経験をした人とつながりましょう。知識、サポート、治療チームのアドバイスがあれば、MGの管理に役立つ知識を得ることができるでしょう。

  1. Gilhus NE, et al. Lancet Neurol. 2015;14(10):1023-1036.
  2. Hehir MK, et al. Neurol Clin. 2018;36(2):253-260.
  3. Mantegazza R, et al. Ann N Y Acad Sci. 2003;998:413-23.
  4. United States Census Bureau. United States 2019 Population Estimates. https://www.census.gov/search-results.html?searchType=web&cssp=SERP&q=us%20population. Accessed May 2020.
  5. Phillips LH. Ann N Y Acad Sci. 2003;998:407-412.
  6. 難病情報センターホームページ[病気の解説(一般利用者向け)/重症筋無力症(指定難病11)](2025年3月現在)
  7. Wolfe GI, et al. Neurology. 1999;52(7):1487-1489.
  8. Lu LL, et al. Nat Rev Immunol. 2018;18(1):46-61.
  9. Gilhus NE. N Engl J Med. 2016;375(26):2570-2581.
  10. Vincent A, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1985;48(12):1246-1252.
  11. Hoch W, et al. Nat Med. 2001;7:365-368.
  12. Pevzner A, et al. J Neurol. 2012;259(3):427-435.
  13. Ruff RL, et al. J Neuroimmunol. 2008;201-202:13-20.

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