MGが初めて症例として報告されたのは、なんと約350年前のこと。そこから現在に至るまで、私たちは研究を重ねて診断や治療方法を生み出しながら、MGとともに歴史を歩み続けてきています。ここでは、MGがこれまでどのような歴史をたどってきたのかをご紹介するとともに、MGを患っていたと言われている著名な人たちもあわせてご紹介します。
1899年 重症筋無力症の病名から「偽性麻痺性」が削除される
ベルリン精神神経学会は、以前の名前の「偽性麻痺性重症筋無力症」から「偽性麻痺性」という言葉を削除しました。 この言葉は元々、体の構造変化がないことを示すために使用されていました。 2年後、「医学の原則と実践(the Principles and Practice of Medicine)」が更新され、「重症筋無力症」という現在の用語が採用されました1。
1976年 MG研究による発見
神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体抗体などを標的とした抗体除去療法が発見され、A.J. ピンチング、D.K. ピーターズおよびジョン・ニューサムーデイビスが3人の患者の症状改善を報告しました。メアリーウォーカーが1934年既に神経筋接合部が病気の起源の場所であることを示していました4。
1987年 アイスパック試験がMGの診断法として確立
アイスパックテストは、血液検査を待たずに、眼筋型MG(眼球やまぶたに関連するMG)の症状を呈する患者の診断に役立ちます。 アイスパックを2〜5分間押し当てた後の眼瞼下垂の一時的な改善により、医師は症状の原因として他の神経筋疾患を除外することができます5。
2014年 日本におけるMGの診療ガイドライン発行
日本神経学会監修、「重症筋無力症診療ガイドライン」作成委員会により「重症筋無力症診療ガイドライン2014」が発行されました。
2021年 国際的専門家によるアップデート
各国の16名の専門家からなるグループから、MG患者さんの治療にあたる医師に向けた新しい提言「International Consensus Guidance for Management of Myasthenia Gravis: 2020 Update(重症筋無力症の管理に関する国際コンセンサスガイダンス:2020年版)」が公開されました。このガイダンスは医師が医師向けに作成したものです7。
MGとともに歩んだ著名人やキャラクター
日本を代表する歌舞伎役者・俳優、萬屋錦之助
歌舞伎、映画、テレビに舞台と活躍し、戦後の日本を代表する人気スター。映画では『一心太助』シリーズや『宮本武蔵』シリーズ、テレビでは『子連れ狼』などの代表作があります。1982年に歌舞伎公演中に倒れて緊急入院、MGと診断されました。手術と長い闘病生活を送りますが、舞台やテレビ時代劇で復活を果たしました。