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重症筋無力症(MG) が患者さんの社会生活に及ぼす様々な影響

2022年7月 | 7分で読めます
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「重症筋無力症(MG)患者に対する実態・意識調査2022」で明らかになった、MGが患者さんの社会生活に及ぼす大きな影響 

MG について社会全体の理解を広げることで、MG患者さんやそのご家族の方々が少しでも過ごしやすい、優しい社会となることを願い、「その知識が、優しさになる。」をスローガンとしたMG 啓発プロジェクトを、2022年6月のMG啓発月間に合わせて実施しました。

啓発プロジェクトのプログラムのひとつとして、MGが、患者さんの日常生活や仕事に及ぼす影響を調査した「重症筋無力症(MG)患者に対する実態・意識調査2022」が、「一般社団法人 全国筋無力症友の会」および「NPO法人 筋無力症患者会」の協力のもと、アルジェニクスジャパン株式会社によって実施されました。

この調査結果から、多くの患者さんは治療によって「日常生活に支障のない状態」を望んでいるものの、いまだMGの症状により日常生活に何らかの支障を抱えていることや、「易疲労性」など見た目には分かりにくく、周りの人に理解されにくい症状に悩んでいるという現状が確認されました。また、仕事など社会生活への疾患の影響も大きく、「病気の症状や大変さを理解してもらえない」のではないかとの不安から職場の上司や同僚に病気の事を伝えられない、などの実態も明らかになりました。

ここでは、主な調査結果のいくつかについてご紹介します。

特に困っている症状の上位は「易疲労性」「眼瞼下垂」「複視」「腕や下肢の脱力」など、周囲の人からは病気と気づかれにくいもの

現在の症状で特に困っている症状を3つ挙げてもらったところ、75%の患者さんが「易疲労性」と回答しました。さらに、5割以上の患者さんが「眼瞼下垂(まぶたが下がる)」(60%)や「複視(ものが二重に見える)」(54%)、「腕や下肢の脱力」(51%)など、見た目ではわからなかったり、周囲の人が気が付きにくい症状が上位に挙げられました。

約4割の患者さんが、友人や周りの人から病気を理解してもらえず「怠けている」と思われた経験がある

MGと診断されてからこれまでに経験したことを聞いたところ、約4割の患者さんが、病気を理解してもらえず、「友人や周りの人から怠けていると思われた」(42%)、「家族から怠けていると思われた」(32%)と回答しています。また、これまでに仕事をしたことがある患者さんでは、約3割(33%)が、「同僚や上司から怠けていると思われた」と回答しており、周囲から病気への理解を得られることが難しいことが伺えました。

約7割もの人がMGにより仕事に支障をきたし、そのうち約3割もの人が仕事 を辞めざるを得なかった

MGにより仕事に支障をきたした患者さんは約7割(68%)、そのうち仕事が「全くできなくなった」のが約3割(26%)で、仕事を辞めざるを得なかったといえるため、MGの仕事への影響が大きいことが明らかになりました。

医療法人同和会 神経研究所 脳神経内科 千葉 所長 川口 直樹 先生による、調査結果へのコメント

現在では、MGに対していろいろな治療法があり、患者さんの状況や症状に合わせて選択肢が増えてきたことで、以前と比較すると患者さんの状況は改善されてきています。しかし、今回の調査でも、約6割の患者さんが、治療を行っているにもかかわらず日常生活に何らかの支障があると回答しているように、いまだにMGの症状による生活への負担を感じている患者さんは多いのが現状です。また、患者さんが特に困っている症状が、「易疲労性」や「眼瞼下垂」、「複視」など病気だと気が付きにくいものであるため、周りの方から病気の苦しみを理解してもらうのが難しく、そのことが職場の上司や同僚にMGであることを伝えにくくしている大きな原因ともなっているようです。

さらに1日の中でも時間によって体調が変化することがあるため、「怠けている」と誤解されることを経験される方も多いという実態が、今回の調査で明らかになりました。このように、MG患者さんは、周囲の理解や共感が得られない、就労や社会参加の機会を損失するなど、さまざまな社会的不利益を被ることも多く、それらのことも患者さんのQOL(生活の質)の低下につながっているものと思われます。患者さんがよりよい生活を送るためには、患者さんに適した治療を受けることはもちろんのことですが、周りの方の理解と社会の環境もとても大切です。今回の調査により、患者さんの現状や抱えている悩みなどが明らかになりました。今後、家族や友人、そして職場の上司や同僚も含め、より多くの人にMGのこと、そしてMG患者さんの現状を知っていただくことで、MG患者さんとそのご家族にとって少しでも過ごしやすい社会となることを願っています。

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