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寒い冬、気分が落ち込んでいませんか?解消するヒントをご紹介します

2021年11月 | 7分で読めます

寒さに慣れた方々にとっても、終わりの見えない長い冬に気分が落ち込むことがあるかもしれません。そんなときは、他のMG患者さんたちが「冬の寒さに対する憂鬱な気分」を解消するために行っている方法を参考にしてみましょう。

寒さに慣れた方々にとっても、長く続く冬は厳しい季節ではないでしょうか。冬は寒くて、暗く、室内で過ごす時間が長くなります。年末年始の祭事が終わってしまうと、冬はたちまち退屈な季節に思えることもあります。人によっては、これが「冬季うつ(ウィンター・ブルー)」と言われる、気分の落ち込みの原因になることがあります。

冬は日照時間が短く、太陽の光も弱くなることが、冬季うつの一因だと言われます。その理由は、明るい光に浴びる時間が少なくなると、体内時計である生体リズムが影響を受け、やる気が低下したり、いつもより眠くなったりするからです1

重症筋無力症(MG)患者さんの場合、症状の悪化も冬季うつの一因になることがあります。もしかして冬季うつではないかと感じ、それが日々の生活に悪影響を及ぼしていると思う場合には、主治医に相談することが大切です。うつ病の徴候が出ていると、深刻な状況になる場合もあるため、主治医に相談してください1

気分が落ち込んでいる方のために、他のMG患者さんの気分の落ち込みに対する対策のヒントをご紹介します。他の患者さんが春までの憂鬱な気分をどう乗り切っているか参考にしてください。

規則正しい睡眠をとる

規則正しい時間に起床・就寝することで体内時計が安定します。決めた時間に起きる必要がない日も、毎日同じ時間に起きるようにしてみましょう。

ワシントン州出身のステファニーさんは、毎日午前6:30に活動を開始し、日が短い冬の間もできるだけたくさんの日光を浴びるようにしていると言います。ステファニーさんは毎日、規則正しく日課をこなし、決まった時間に寝るそうです。「起きたら、まず朝食をとって自宅で仕事する、というように毎日同じことをしています。夜にも日課があって、言語学習アプリで少し勉強するなどしています。気分を落ち着けて、寝る時間だということを身体に知らせるんです」と話しています。

他の人と交流する

他の人と関わりを持つことも、気分を高めるための1つの方法です。家族と、またはバーチャルで他の人とでも良いので、冬の間は人との交流を続けることが大切です。

心理学者であり、冬季うつの専門家であるジェニファー・ラフ博士は次のように話します。「コロナ禍である昨今は特に、MG患者さんだけでなく、友人も家族も同じように、人とのつながりを求めています。大切な人と一緒に過ごせない場合は、友人や家族と毎日話す時間を設けてみてはどうでしょうか。電話でも、メールでも、ビデオ通話でも構いません」

自分の健康のために他の人と交流し、自分に優しくすることを大事にしているという、ニューヨーク州在住のアリシアさんは、次のように話してくれました。「家族や友人とは、連絡を取り続けるようにしています。でも、人との交流ができないときは、心身ともに自分をケアするよう心がけています。毎日、好きなことをする時間を取って、できる時には瞑想をしています」

クリスさんは冬でも比較的暖かいフロリダ州に住んでいますが、ソーシャル・ディスタンスの確保によって孤立感を感じることがよくあるそうです。それでも、自宅では家族の強力なサポートがあり、そこから元気をもらっています。「娘たちや両親がそばにいて、楽しく過ごしています。孫娘と一緒に遊んでいるとすぐに時間が経つのを忘れ、気分の落ち込みをいくらか追い払うことができます」と話しています。

毎日、好きなことをする時間を取っています。

アリシア
ニューヨーク州

好きなことに打ち込む

趣味、ボランティア、家族との時間など、自分にとって楽しくて意義のあることを見つけてみましょう。そして、1日10分でもいいので続けてみてください。楽しいことをすれば、徐々に活力が湧いてくるでしょう。

ラフ博士は次のように話します。「楽しむことが心の健康と幸福に及ぼす影響は、しばしば過小評価されています。読書をしたり、文章を書いたり、ゆったりした音楽を聞いたりなど、一般的な娯楽でも日々のストレス軽減につながるでしょう。冬の間は少しチャレンジですが、疲労感があったとしても行動を起こしてみてください。いざやってみると、気分がよくなることも多いのです」

ステファニーさんは定期的にオンライン会議システムを利用して友人とバーチャルゲーム・ナイトを開催しています。人との交流ができないときは、ペイント・バイ・ナンバーという絵画キットで風景画を描いて、大好きな写真撮影に代わる冬の間の趣味として楽しんでいます。

外に出て太陽の光を浴びる

冬が得意でない方でも、この季節ならではの楽しみ方をしてみましょう。

ラフ博士は次のように話します。「体調が良くて天気がよければ、太陽が出ているときはもちろん、曇りのときも外出してみましょう。昼間の太陽の光は気分を高めてくれるでしょう」

イリノイ州在住のビクターさんも、外へ出かけることは元気を出すのに一番いい方法だと言います。

「散歩が好きで、新鮮な空気や運動を楽しんでいます。自然は精神的にも驚くほど効果があります。体調が良くて天気も良ければ、外に出て自然や外の世界から得られる素晴らしいものを上手に楽しみましょう。爽やかな風を感じてください。近所の人や友人に会ったら、挨拶したり手を振ったりしてみましょう」

クリスさんは、閉じこもりがちなときは外に出て新鮮な空気を吸い、海や夕日を見ると心が落ち着くと言います。

「ベンチに座って、鳥や空を見るだけでも癒やされます」

どうしても外に出られない、出たくないというときは、日中の数時間だけでも窓際で過ごしてみてください。ワシントン州在住のジュリアさんは、日光を浴びることで、冬の間に感じる疲労感をうまくやり過ごすことができる、と話してくれました。

人に優しくするのと同じように、自分にも優しくなる必要があります。

ジェニファー・ラフ博士(心理学者、冬季うつの専門家)
ワシントン州

運動する、身体を動かす

身体を動かすことも、心身のストレスを軽減してくれます2

ラフ博士は次のように話します。「コロナ禍と冬の影響で、家の中で座りっぱなしの人が増えています。ゆったりした動きでもいいですし、軽い運動でもいいので、自分の身体に合ったことをやってみましょう。大切なのは、安全で自分ができる運動をすることです。冬の時期の気分の落ち込みをうまく乗り切るためには、朝の運動に挑戦してみるのもいいでしょう。運動することで、その後一日中ずっと気分が良くなり、やる気や注意力がさらに高まります」

1日数分だけでも、日常生活に軽い運動を取り入れることで寒い冬の日々でも幸せな気分になれるでしょう。ストレッチや家の周りを歩くなど、小さなことから始めて次の段階に進んでみましょう。定期的な運動を始めたり、運動内容を変更する前には、必ず主治医に相談してください。

栄養価の高い食事を作り置きする

料理をする気になれない冬の日のために、前もって食事を作っておく、いわゆる作り置きを検討してみるのもいいでしょう。自分の体力、スケジュール、料理の腕前、食事の好みに合わせて、作り置きの計画を立てましょう。

ステファニーさんは、栄養価を考えた食事計画を立てるためにアプリを利用しているそうです。

「冬の間は、冷凍庫にたくさんの作り置きを保存しておくようにしています。料理ができないときはオーブンに入れるだけです。栄養価が高くて食べやすい煮込み料理を、今週分と料理ができないときの分の2回分を作ります。手作りのスープを作ったら、半分は冷凍しておきます」

冬の間は、冷凍庫にたくさんの作り置きを保存しておくようにしています。

ステファニー
ワシントン州

夜にテレビやPC、携帯電話などの画面を見る時間を制限する

明るい光、特にコンピュータの画面やスマートフォンから出る青色領域の光は、夜、眠りにつくのを助けるホルモンを抑制する可能性があります3。就寝の2時間前にはブルーライトを浴びないようにするか、決まった時間に電子機器をすべてオフにすることを検討してみましょう。

感謝の気持ちを示す

もしうつ病の徴候がある場合は、必ず主治医に相談してください。また、冬の時期の気分の落ち込みに対する対策のヒントを参考にするとともに、自分に少し猶予を与えてみてください。

ラフ博士は次のように話します。「冬は厳しい季節です。コロナ禍となり、多くの人が大変な日々を過ごしています。人に優しくするのと同じように、自分にも優しくなる必要があります。そうすると、いくつか毎日感謝していることに気が付くようになると思います。笑える瞬間を楽しむことから、温かい家庭や大切な人に感謝することまで、大小問わず」

  1. Melrose S. Depress Res Treat. 2015;2015:178564.
  2. Mayo Clinic. Stress management.  Updated August 18, 2020. Accessed January 18, 2021.
  3. Tähkämö L, et al. Chronobiol Int. 2019;36(2):151-170.

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