重症筋無力症、その併存症とともに生きる

2020年8月 | 5分で読めます

MGには、併存症と呼ばれるほかの症状がでることがあります。これは悩ましいことです。

最近の調査によると、MG患者さんの65%~88%が、一つ以上の慢性疾患や慢性的な症状を抱えています1-3。医学用語では「併存症」と呼ばれ、同時に存在する別の病気あるいは状態という意味です。例えば、高血圧は糖尿病の併存症です。

MGと診断がつくまで、2年かかりました。僕の症状――倦怠感、筋力低下、複視――はずっと、別の持病のせいにされてきたんです。 ザック・M. MG患者
MGユナイテッドメンバー

重なる症状

MG患者さんに起こりがちな関連症状は、メタボリックシンドローム、心疾患、高血圧、糖尿病です。また、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、甲状腺疾患など他の自己免疫疾患のリスクもあります1。加えてMGと診断された後、うつ病を発症するリスクが倍増します4。このような疾患のなかには、衰弱や倦怠感などMGと似た症状を引き起こすものもあります。そのため、どの疾患がどの症状の原因か判断が難しくなる場合もあります。だからこそ、あなたの治療にかかわる治療チームは診断された全ての症状を把握する必要があるのです。

高血圧は、MG患者さんに最もよく見られる関連症状のひとつです

高血圧は、MG患者さんに最もよく見られる関連症状のひとつです1

鍵は、治療チームとのコミュニケーション

あなたは、何人かの医師や専門医にかかっているかもしれません。中には、MGの治療経験をあまりお持ちでない先生もいるかもしれません。受診するたびに、薬や治療法を含め全身の健康状態を伝えましょう。治療チーム全員が、あなたの健康状態を把握する必要があります。そうすれば、最も完全な最高のケアを受けられます。

あなたの全ての治療薬に注意を払いましょう。あなたの治療チームと薬剤師には、治療薬のリストを必ず知らせておきます。薬を飲んで症状が改善したか悪化したか、治療チームに伝えることも重要です。そうすれば、最適な治療プランを考える参考になるでしょう。診断と治療に不安を感じたら、セカンドオピニオンを受けることもできます。

大切なのは、体の声に耳を傾けることです。新たな症状がMGと直接関係していると思い込まないこと。別の疾患や、今飲んでいる薬が原因かもしれません。調子が悪かったり、新たな症状があらわれたら、主治医の先生に相談しましょう。症状がいつあらわれ、どれくらい続くかなど、できる限り細かく把握しておくことで、あなた自身と治療チーム全員にとって、今後の方針を決める参考になります。

「かかりつけ医は、横断的な治療チームの司令塔です。一般医として、専門医どうしのコミュニケーションを調整します」 ニラジャ・S・スレシュ(医学博士)

仲間とつながる

MG以外にも疾患があると、管理が大変です。MGと歩む人生を支えてくれる家族や友人、大切な人がいるなら、治療に関する情報の管理を手伝ってもらえます。診察に付き添ってもらいましょう。メモをとったり、確認のため質問したりしてもらいます。第三者から見た意見も得られるでしょう。例えば、あなたの心身の状態を見守り、変化を教えてもらうことができます。家族や友人からのフィードバックを書き留め、治療チームに伝えましょう。

一番役に立つリソースのひとつは、MGコミュニティのメンバーです。あなたと同じくMGとともに暮らす彼らの経験から、学ぶことができます。連絡をとってみましょう。症状はちがっても、あなたの状況を理解し手を貸してくれるでしょう。

治療に積極的に参加することで、前向きになれるかもしれません。いくつも症状を抱え何人もの医師にかかる際も、十分なコミュニケーションがとれれば一定のコントロール感を得られます。コミュニケーションを通じて治療チームとの結びつきも深まり、より良い治療とアウトカムの改善につなげられます。

  1. Misra UK, et al. Acta Neurol Belg. 2020;120(1):59-64.
  2. Diaz CV, et al. J Neurol Neurophysiol. 2015;6(5).
  3. Tanovska N, et al. Maced J Med Sci. 2018;6(3):472-478.
  4. Chu H, et al. Front Psychiatry. 2019;10(481):1.

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